PEOPLE花王で働く人々
研究開発
スキンケア研究所(グループリーダー)
2008年 新卒入社
理学院 卒

界面化学を探究し続け
洗浄の常識を覆す
じっくり考える個性を活かしながら、製品開発ができる花王へ
化粧品をつくることが夢で、学生時代は有機化学を専門に研究を行っていました。その中で、物事をじっくりと考え着実に進めることが自分の特性だと気づきました。一方で、商品開発のようにスピードが要求される仕事は自分には向いていないとも当時は考えていたのです。それでも「化粧品を開発したい」という思いは強く、就職活動では、基礎的な研究に取り組めて、商品開発にもつなげられる企業を探しました。そして、最も私の理想と合致したのが花王でした。花王ならば、自分の強みを基盤研究で活かしながら、「ビューティー分野に携わる」という夢を実現できると感じたのです。
入社後は、素材研究所にて洗浄に関わる界面活性剤の基礎研究に従事しました。界面化学については本当にゼロからのスタートで、先輩や上司に丁寧に教わりながら1つずつ知識を習得していきました。ただ、分野が異なっても研究の基本は同じです。学生時代に築いた研究の基礎力はしっかりと活かすことができました。
花王で研究を始めて強く思ったのは、「製品につながる研究は、こんなにも面白くてワクワクするんだ」ということでした。基礎研究でありながら、その先の製品につながっていくことを実感できるため、研究が今まで以上に楽しくなりました。
界面化学の研究者としてのアイデンティティを確立
約10年にわたり所属した素材研究所の取り組みで最も印象深いのは、ビオレにおいて非常に重要な「うるおいを守る技術=SPT(Skin Purifying Technology)」の洗浄メカニズムを解明したことです。
ある時、スキンケア研究所が泡質の向上を目的に開発した界面活性剤に、従来にはない特徴的な洗浄挙動が見られました。そこから素材研究所としても、その界面活性剤について研究をスタート。最終的に、肌への優しさと洗浄力を高レベルで両立させた新しい皮膚洗浄技術「SPT」として確立することができました。この技術は、ビオレ発売以来の大型リニューアルにおける最大の目玉となったのです。
SPTの研究・開発によって、私は学会で発信する機会を多くいただくようになり、賞も受賞しました。「私の専門は界面化学です」と胸を張って言えるようになった大きなきっかけでした。
国内外の学会に参加したり、多くの論文に触れたりする中で、「花王ほど洗浄について深く研究している会社はほかにない」と改めて感じました。研究者一人ひとりがどこまでも本質を追い求めるからこそ、普通なら「無理だ」と諦めるような研究・開発テーマにも果敢に挑み、唯一無二の技術を生み出せるのだと思います。

ユーザーとして感じていた不満を解消する自発洗浄技術を開発
2017年にスキンケア研究所へ異動し、さまざまな商品開発に携わりました。そして、チームリーダーとして初めてゼロから商品開発を手がけたのが「ビオレ ザ クレンズ」です。その核となる新たな自発洗浄技術の開発は、私自身がユーザーとして抱いていた“ある不満”を解消したいという思いからスタートしました。
その不満とは、メイク落としでは「入念なマッサージが必要」ということでした。メイクはしっかり落としたいという気持ちから、メイク落としをするときは、「ここはちゃんマッサージしたかな・・・」とか、「昨日落としがあったから、今日はもっと強くマッサージしないと!」など、当たり前に沢山のことを考え、煩わしさを抱えながらメイク落としをしていました。もっとストレスなくメイクを落とせる製品ができないだろうか……。その答えが、”マッサージしなくても落ちる”メイク落としだとたどり着きました。世の中のメイク落としを徹底的に調査し、さまざまな実験を重ねていきました。その過程で、かつて廃盤となった花王製品の中に、マッサージなしでも洗浄できる可能性を秘めた処方があることを発見。そこから着想を得て、時間をかけずに洗浄できる新たな技術を研究し続けた結果、洗浄剤塗布後に物理的な力を加えずとも、水ですすぐだけでメイクを除去できる自発洗浄技術を確立できたのです。

この技術にも界面化学の知見が大きく活かされており、素材研究所での経験があったからこそ開発できたと感じています。
「ビオレ ザ クレンズ」は世の中に響く製品となり、大きな達成感を得られました。何より、この自発洗浄技術は、今後長きにわたって花王のメイク落としの重要な技術になると確信しています。
入社前は向いていないと思い込んでいた商品開発も、担当してみると多くの方々が支えてくださり、「自分にもできる」と思えるようになりました。これからもユーザー視点を大切にしながら、新たな価値を生み出したいと考えています。

独自技術のバイオIOS技術を化粧品用途に初応用
花王の強みの1つは、スキンケア、ハウスホールド、ヘアケアなど多彩な分野の研究所と、それらを横断的に支える基盤研究所だと思います。各研究所が積極的に協働することで、単独の分野だけで研究していては決して生まれない発想や技術が育まれ、確信的な製品開発へとつながっているからです。
その好例が「ビオレ ザ ボディ ととのい肌」です。これまで洗剤に搭載されていたバイオIOSの技術を、初めて化粧品用途に応用した製品です。まさに分野の垣根を越えた協働の成果であり、こうした挑戦こそが花王の研究スタイルの真骨頂です。
今後も異分野融合型の研究を積極的に進め、お客様に貢献できる製品を生み出し続けたいと思います。そして、バイオIOSの魅力を世界中に広げていくことが私の目標です。
さらに、私がそうであったように、研究の面白さに魅了され、ワクワクしながら研究に取り組む次世代の研究者を育てていくことも、今後の重要な使命だと考えています。
だからこそ、日々の業務の中で研究の楽しさややりがいを体感してもらえる環境づくりを心がけています。そうして、同じ志を持つ仲間が増えていけば、花王の「将来を見据えた研究文化」が確実に受け継がれていくと信じています。

ONEDAY1日のスケジュール
出社
在宅勤務
6:30
起床→身支度
8:00
通勤
8:40
出社
9:00
メールチェックやグループメンバーと研究の進め方相談
10:00
打合せ(メンバーと研究内容ディスカッション)
11:00
打合せ(他部署と協働研究内容について)
12:00
昼食(社員食堂)
13:00
デスクワーク(メールチェックや資料作成)
移動(すみだ→茅場本社)
15:00
打合せ(事業部と商品の方向性について)
16:00
打合せ(他の事業部に洗浄技術を紹介)
17:00
帰宅
18:00
在宅勤務(メールチェックや資料作成)
19:30
終業
20:00
夕飯や趣味の時間
24:00
就寝
6:30
起床→身支度
8:00
心と体をリフレッシュ
9:00
始業 メールチェックや資料作成
12:00
昼食(自宅)
13:00
チームメンバーとオンライン会議
14:00
資料作成、特許チェック、書類仕事
18:00
終業 夕飯や趣味の時間
24:00
就寝
MY FAVORITEお気に入りの花王商品

- ビオレ ザ ボディ ととのい肌
- バイオIOSの魅力を最大限に活かした製品が、5年の歳月をかけて完成しました。
私も実際に使用し、バイオIOSのおかげで肌の状態が良くなっていくのを日々実感しています。